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1357 名前:2ちゃんねるのどこか 投稿日:2009/08/18(火) 00:01:22
364 名前:1/3 投稿日:2007/03/10(土) 01:10:14.05 ID:COV3CpsB0 都内に23区内にある、小さな公園。 目の前には幼稚園がある。 24年前、その公園の目の前で事故が起きた。 被害者は、6歳の男の子だった。 事故当時、男の子は母と共に幼稚園まで妹を迎えに来ていた。 卒園したのだし、なんだか入るのが照れくさい男の子は いつも妹を迎えに行った時は、その公園で母と妹が出てくるのを待っていた。 その日も、男の子は公園にある鉄棒で逆上がりの練習をしていた。 よく遊ぶ友達のF君が、逆上がりが出来るから、それが羨ましくて練習を始めたのだが 何回挑戦してもうまくいかない。 母は、保母さんと話し込んでいるのか中々出てこない。 男の子はだんだんとムキになってきて、思いっきり地面を蹴ってそして、逆上がりは成功した。 嬉しくて、お母さんに褒めてもらいたかったのだろう。 男の子は母のいる幼稚園に向かって走り出した。 左右確認をせずに、男の子は公園を飛び出して母の元へ走った。 そして、16歳の少年が運転するスクーターに撥ねられ、頭を強く打ち、死亡した。 6歳にしてはシッカリしたお兄ちゃんで、公園を飛び出したりするような子ではなかった。 だが、妹はその時3歳で、ちょうど一番手の掛かる時期だ。 母は妹に手をとられ、あまり兄である男の子にかまってあげられていなかった。 少し寂しかったのだろう。 「妹は可愛いし、ボクはお兄ちゃんだから!」 と、いつも元気だったけど、どこか寂しそうな印象だったと近所の人も口を揃えて言う。 現場は細い道、飛び出しに気をつけ通常は速度を抑えて走行するものだが 加害者の16歳の少年は、いつもその道をアクセル全開で走っていた事が後の調べで判明した。 不慮の事故と言うにはあまりに悲しい事故に、遺族の心の傷も深く、大きかった。 だが、残された娘の為にもと、男の子の両親は悲しみに負けず幸せに暮らそうと努力した。 365 名前:2/3 投稿日:2007/03/10(土) 01:10:50.93 ID:COV3CpsB0 悲しい事故から丁度10年目のその日。 男の子の両親は、事故後初めて現場の公園を訪れた。 男の子の葬式などを終えたあと、ショックこそあれど強く生きなければならない。 そう考え、彼の家族は別の土地へ引っ越していた。 10回忌、初めて公園に足を運んだ一家。 現場に花を添え、男の子の好きだったジュースやお菓子を備え、線香を立てた。 母は、10年間強く生きてきた。 妹の育児に手を取られ、男の子とのコミュニケーションをおろそかにしてしまった自分を呪い 人一倍泣きぐずる妹に対して湧き上がる感情 そして何より、事故を起こした少年に対する怒り 理不尽な理由によって、愛する息子が亡くなってしまった事故への憤り それでも、それでも頑張ろうと、感情を胸に押さえ込み生きてきた。 正直、表向き元気に装っていても、心はズタズタだった。 あの子を殺したのは自分なのだ。 いつでもそう、自分を責めてきた。 事故現場に来たら、きっと耐えられない。 そう思い、この10年ここへ来る事が出来なかった。 謝ってもあやまり切れぬ思いを、悔やんでもくやみ切れぬ思いを、両手を合わせ目を閉じ 10年前、ここで死んだ息子に伝えようとした。 366 名前:3/3 投稿日:2007/03/10(土) 01:11:56.98 ID:COV3CpsB0 1時間が経ち・・・ 2時間が経ち・・・ それでも母はその場を動こうとしなかった。 見かねた父と娘は、母をそっとしてやろうと近くの喫茶店に行った。 息子に手を合わせてから、3時間くらいが経過しただろうか。 公園で、小さな男の子の声がした。 「はっ」として、母は鉄棒の方へと目をやった。 そこには、鉄棒で逆上がりの練習をする子供の姿があった。 そして、それは10年前と何も変わらぬ、自分の息子の姿だった。 忘れもしない。 あの顔、あの服、あの声。 母は、それをただ見守っていた。 何回やっても成功しない逆上がり。 段々男の子はイライラしてきたのか、その感情をあらわにするようになってきた。 その勢いのまま思いっきり地面を蹴って… そして、逆上がりは成功した。 嬉々とした顔で、走り出す男の子。 母は、もう飛び出さぬように、公園の入り口の前で男の子を待った。 男の子は、母の目の前まで走ってきて、息を切らしながらこう言った。 「ボク、逆上がり出来たよ!お母さん!」 涙が止まらない母には、この一言が精一杯だった。 「凄いねぇ、もう立派なお兄ちゃんだね。」 男の子は、ニッコリ満足気に微笑み気付けばもうそこには居なかった。 10年間ずっと、逆上がりが成功した事を知って欲しかった。 だけど、妹に10年間は譲った。 男の子は、最後までお兄ちゃんだった。
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