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36 :本当にあった怖い名無し:2008/11/19(水) 14:55:36 ID:ychbqEmQ0
付き合ってた女の子が、猫を飼っていた。 彼女の部屋(ほんとはペット禁止)に遊びにゆくと、愛想良く俺の膝でゴロゴロ言ってくれる。 ただ、ときどき不意にゴロゴロをやめ、スッと首を伸ばし、箪笥の上をジッと見つめることがあった。 箪笥の上にはボール紙の小箱。靴が入っているようなやつ。 気になって、あの箱は何なのか彼女に尋ねてみた。 「実家にいたときに飼っていた猫の首輪が入ってるのよ。 老衰で死んじゃったんだけど、可愛い子だったな」 ふーん。この猫にも何となく判るのかな。 「それと、その子の尻尾。短いんだけどね。記念に」 ちょと待てよ尻尾て何だよミイラかよ毛だけだろ記念にてどゆことだ切断したのか!? 少しして急用を思い出した俺は、にこやかに、かつ残念そうに彼女の部屋を後にした。 振られるばかりの俺が、初めて自分から別れを切り出したのはそれから程なくのこと。もちろん本当の理由は言わなかった。 彼女には、少女期を共に過ごした愛猫の尻尾を、記念にとっておくことについて筋の通った理屈があるのだろう。 だけど俺は、猫が死んだら尻尾も一緒に葬る派。 偏狭で神経質だと非難されるかもしれないが、相容れない。ちょっと無理。 「お別れの記念に何かちょうだい」なんて言われなくて良かった。 ほんとうに良かった。
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